「陽菜?」


『もうええやんか』


「でもな…」


『これ以上はあかん。うちが怒る』


「……」


『ほら、唇切れてる』


「……っ…」


まだ少し不満そうな日向の、切れた唇の端を背伸びして親指でなぞる。


指の腹についた血を見せつけニカッと笑うと、日向は悔しそうに「アホ…」と呟いた。