壱夜は今まで、どれだけの幽霊が成仏するところを見て来たんだろう? 悲しそうな横顔にそんな事を思うと彼が振り返り、鈍色の瞳があたしを捉える。 「陽菜がこの世に残した想いは―――…何?」 そう言って妖艶に微笑んだ壱夜の雰囲気に、何故だか呑み込まれそうになった。 ―――あたしが、この世に残して来た想い? 考えていると、知らないうちに涙は止まっていた。 いくら考えても分からないのは、きっとあたしが知るのにはまだ早いから。 …けど、それがどんな想いだったにしろ、あたしが考える事に変わりはない。