ペタンと座り込んだあたしに、疾風の残した光が降り注ぐ。 「え、ちょっと待って」 その直後に信じられないといった大悟の声が耳に届き、 「今、疾風がそこにおった気が…」 ―――それが、疾風が最期に起こした一瞬の奇跡なんだと、あたしは思った。 彼が残した言葉はきっと、一生あたしの宝物になる。 ―――“陽菜、大好きやった” それが今までと違って過去形で終わっていた事に、ただ涙が溢れた。 …一つの短い青春が終わりを告げて、儚い光になった瞬間だった。