『俺、陽菜のことほんまに好きや』 ポタリ、握っているあたしの手の甲に、疾風の透明な涙が落ちる。 それと同時に、強く握っているはずの手の力が、少しずつ弱まっていくのが嫌でも分かってしまう。 『人生初めての一目惚れや』 『……嫌や』 『何やねん、許否んなよなぁ』 『…だって、』 ――――“声が遠い” …とは言えなかった。 言ってしまえば、それが本当になってしまう気がしたから。 けど、神様ってやつは本当に意地悪好きなんだと、本当に大っ嫌いだと、弱まってく手の感覚に叫びたくなる。