一瞬、世界から音が消えたのかと思った。 静かに顔を上げ視界に疾風を取りこむと、その瞳が悲しく光る。 何も言わず、ただジッと仁美ちゃんを見ている疾風に心が痛くなる。 いつもの疾風ならあたしに飛びついて嬉しがるだろうに、やけに静かで大人な表情の疾風にあたしまで悲しくなる。 まるで、何もかもが終わってしまう前の顔。 そして、何かの前兆を感じさせる顔。 ―――使命を果たした、使者の顔。