―――☆ 「おい、陽菜ぁ?」 『…え?』 聞こえてきた声にハッと顔を上げる。 途端に視界がカラフルになり、眉を少し寄せて怪訝な顔をした日向といつも通り読書に耽っている壱夜が目に入る。 「寝不足?」 「んなわけあるか、コイツ昨日爆睡して俺の腹蹴りよったからな」 壱夜の問いにあたしでなく日向が答え、ジッとこっちを睨む。 それに壱夜が笑いだして、爆笑しながらずれた眼鏡を中指で上げた。