本当に吃驚した感じの彼はそれを悟られたくないのか『別にそんなんちゃう』と誤魔化すように笑うけど…
やっぱり瞳は悲しそうで、今にも泣き出しそうな苦しい表情をしている。
それは、普段なんにも考えていなさそうな彼の精一杯の嘘だ。
バレバレな、不器用で下手くそな彼の嘘だ。
それが何よりも分かってしまうから―――…だからあたしは、いつでも君の嘘に騙されてあげるよ。
『疾風が泣けへんのやったら…あたしが代りに泣いてあげるから…』
―――“だからそんな悲しそうな顔せんとって”
シャツを力一杯握りながら泣いていたあたしの、次の言葉が発せられることは無かった。

