自分でも分からない。
どうしてなのか分からない。
痛い、とにかく痛い。
…胸が、張り裂けそうに痛い。
『―――…疾風のっ、疾風の想いが伝わって来て…胸が痛いねんっ』
それまで喧しく一人コントをしていた疾風が、立ち止まった。
遂にえぐえぐと声まで上げて泣き出した滑稽極まりないあたしに、彼の濃褐色の瞳が向けられる。
『疾風の…想いが―――…っ』
想いがあたしの胸にまで伝わって来て、痛くて…。
『ありがとう、陽菜』
そこまで言って、必死になってたあたしの声は、疾風の声と思っていたよりも広い腕に遮られてしまった。

