「マジだるい…」


言葉の通り面倒臭そうな日向は、上履きを取り出すと乱暴に足を突っ込む。


踵を踏まれすぎて形の戻らない上履きが、少々可哀想にも思えた。


そんな日向の踵をボーッと見つめながら教室の前まで来て、中に入ろうとする背中にハッと声をかける。


『日向が勉強してる間…うち、屋上で寝てるわ』


「はぁ?」


眠そうに目を擦るあたしに、日向が納得行かないように振り返る。


『何よ?』


目を細め、その歪んだ眉の下にある瞳を捉えると「セコいわ」と、日向が呟いた。