窓の向こうに見えた疾風の後ろ姿に、あたしの手のひらの痕が少し疼き、 「どうしてん、あいつ」 日向の少し心配そうな声が、部屋に響く。 あたしはソファーに力無く座ると胸に手を当てて、不意に感じた違和感に嫌な胸騒ぎを覚え… ただ何故か少しの間、疾風の青ざめた顔が頭の中を渦巻いていた。 ―――今考えると、この時のあたしは後に起こる何かを感じていたのかも知れない。