グッと握った拳に爪がめり込んで、手を開くと痕がくっきり付いていた。 あたしの気持ちも知らない疾風は口元に笑みを作り――… 『じゃ、また明日な。陽菜』 いつものように優しくあたしの名前を呼んで、帰ってしまう。 ただ、いつもと少し違った様に感じたのは…きっと疾風の目が笑ってなかったせい。 何かを考える様なその瞳は、いつに無く寂しそうだと思ってしまった。