「何してんねん、陽菜」


蒸し暑い日向の部屋。


どこまでも続く青い空が窓から見える。


あたしの視界には、天井と下から見た壱夜の顔だけ。


呆れた感じの日向の声が届き、あたしはゴロンと寝返りを打った。


『だって眠いんやもん。イチの膝枕は最高やわぁ~』


胡座を組む壱夜の脚に頭を乗せながら、襲ってくる睡魔に瞼が落ちそうになる。


「寝るんだったらベットの方がいいだろ?」


そんなあたしに壱夜は黒縁眼鏡から鈍色の瞳を覗かせ、読んでいた小説をパタンと閉じた。