そんな日向に、お母さんは少し呆れた表情を浮かべて「でもなぁー」と続けた。


「麗子ちゃん心配するやろ?はよ帰ったりぃ」


「……」


「ほら、私はもう大丈夫や。ピンピンしてるし!」


「…うん」


お母さんの言葉に一瞬難しい顔をすると、静かに呟いて立ち上がる日向。


麗子ちゃんとは、日向のお母さんだ。


「また、うちにご飯食べに来ぃ」


病室を出る間際、ドアノブを取った日向の背中に声がかけられる。


「陽菜はおらんけど……何時でもおいで」


そう付け足された言葉に日向はビクンと肩を軽く揺らし―――…