“どうせまた、日向がしょうもない嘘でもついてるんや” そうでも思ってないと、やってられなかった。 「陽菜っ!」 『嫌や、信じへんもん!』 止める日向の手を振り切ると、屋上の階段を駆け降りる。 ズキズキと痛む胸は、まるでナイフでも刺さっているかのようだった。 うっすらと浮かぶ涙を袖で拭き取りながら、あたしは家へと走り出した。