「麻緒さん、何かあったん?」 『……っく…』 日向が心配そうに近づいて、あたしの顔を覗き込む。 宥めるように頭を撫でて、その手の優しい重みに安心した。 「陽菜、取り敢えず行くで」 殆ど分からないあたしの説明で“お母さんに何かあった”と理解出来るのは、日向しかいないんじゃないかと思う。 あたしの手を引っ張って走り出した日向に、制服の袖でグイッと涙を拭き取った。