それでも涙を堪え、日向の家に行くために、昔から何度も通った路地の角を曲がった。


…そして、紫色の空の下に浮かんだ一つの影。


見慣れた後ろ姿。


『日向っ!!』


「……え、陽菜?」


必死なあたしの声に、いつもと変わりなく振り返った日向に、


『っ…お母さんが!!』


堪えていた涙が、ぶわっと溢れ出した。