だって日向は…あたしに嘘をついているから。


「陽菜はよ来い。置いてくで」


『ま、待ってー!』


日向に手招きされて、急いで走り出す。


段々と近づいていく日向の広い背中に、あたしは胸の嫌なざわつきを感じていた。



…きっと、幼なじみのあたししか知らない日向の癖。


嘘をつく時はいっつも額に手を当ててしまう、本人さえ気付いてない日向の癖。


―――日向はさっき、額に手を当てていた。