――――けれど知らなかったのは、あたしの方だけだったようで… 『ちょ、何!?』 いきなり彼に手首を引かれたと思ったら、あたしは日向の腕からスルリと抜けていた。 …ってか、こいつ誰!? 何であたしの名前知ってんの? 色んな疑問が浮かんで来るけど、そんな事を聞いている余裕も無い。 「お前ふざけてんのか?」 今にも日向の血管はブチ切れ寸前で、あたしはヒヤヒヤと震える日向の拳を見つめた。