必死に頭を働かせても、彼に対しての記憶が全く無くて、自分自身パニックに陥りそうだ。 だけど一つだけ分かるのは、彼が普通の人間じゃ無いという事だけ。 急に目の前に現れるなんて、マジシャンか超能力者か何かしかいない。 『あんたなぁ…』 笑い続ける彼に嫌気がさして、文句でも言ってやろうと距離を縮めた瞬間。 「陽菜」 え―――…? 後ろから日向の腕が伸びて来て、意図も簡単にあたしの体は引き寄せられた。