『大丈夫…です』


俺は再び歩こうとしたが、優さんに止められてしまった。


『ちょっと話せるかな?』

『……え…』


『ほんの少しでいいんだ』


『はい…』


俺は家と逆方向に体を向き、優さんについていった。

優さんがつれてきた所は、コーヒーショップ。


とてもお洒落な場所だ。

そして俺には場違いな場所。

スエット姿で、髪ボサボサで、頬が赤い。


最悪だろ?


『何がいい?』


俺はメニューを見ながら、どれにしようか悩んでいた。


『こ…ココア…でも俺自分で払います…』


財布を出そうとしたが、
優さんは笑顔で、俺の手を止めた。


『僕が勝手につれて来てしまったんだ。僕に払わせて』


『…はい…』


優さんは、ココアとエスプレッソを頼み、
空いているテーブルを探し、向き合って座った。