『…百合、俺は百合を幸せに出来るか不安だ。
今日だってそうだ。
俺はこの先きっと百合を苦しめる…』



『…ねぇ光輝…好き同士ってだけじゃ無理なのかな…』


まだ風は吹きやまない。


俺の全ての体温をもっていかれる気がした。


『約束してくれないか?』


『えっ…』


『俺さ、もっと自分を磨くよ。ふさわしい人間になるよ。百合を守れるような…百合を幸せに出来るような…』


百合は俺の話を頷いて聞いてくれた。


『俺達が卒業した日、
まだ百合が俺の事が好きだったら、ここに来て。
俺も、百合が好きだったらここに来るから…』


『卒業する日…』


『うん、卒業する日!
だからそれまで百合は自由にすればいい。』



俺は自分の中の鳥籠から、自分の手でフタを開け、
百合を自由にした─…