―百合色―

俺はあの約束を一度も破ってはいなかった。


マナを見守ってた。



マナが集中して勉強出来るように。


俺は我慢出来ない時は、
勉強をひたすらした。



結果はどんどんと出ていく。



──…
何も変化がないまま、
日々は過ぎていく。



来てしまった。


とうとう…

あの時が──…


誰か知らない人が壇上に上がり、何かを読んでいた。

その言葉に涙する生徒もいる。



今日は中学生活の最終日だ。



そう、卒業式。


胸についている大きな白い花が、悲しそうだ。


《マナと生活する最後の日》……なんて思わなかった。

だってマナとは高校も一緒だから。



3日後に控えた入試を、
俺は受ける。

マナと一緒に。


そして合格する。


マナと一緒に。


全て計画通りにいけばいい。


だから今日は隣で鼻水垂らしながら泣いてるタクミみたいにはならない。


俺は、桜が咲いた頃の事を想像して──笑う。