―百合色―

ずっと、ピンク色に染まったまま、授業は終了した。


お礼…
お礼言わなきゃ!


俺は教えてくれたマナにお礼を言おうとした。


斜め前に楽しそうに友達と話すマナを、俺は今から声をかけるんだ──…


と思えば思う程、
呼吸が上手く出来なくなる。


でも俺は頑張って、
声を出した。



『あっ麻生…』


マナはクルッと俺の方を向いた。



『さっきはありがとな!まじ助かった!』



……言えた!
やるじゃん!俺!



マナは笑って、


『いいよ!』

と言って、また友達との会話へと戻ってしまった。


一瞬だったけど、

すごく嬉しかった。


一言だったけど、


すごく嬉しかった。



これがきっかけとなり、
俺は積極的にマナに話しかけ、俺とマナは仲良くなっていった。