「わぁ~鮪(まぐろ)だ…」 大きな水槽の中を、止まることなく泳ぎつづける鮪。 --ねぇ、そこ狭くない…? 自由に泳ぎ回る鮪。 自由に見えて自由じゃない。 広く見えて広くない。 --ここにいる魚達は私と一緒。 自由に動けるが、逃げ出すことは出来ない。 目の前で泳ぐ鮪が、今の私に見えた。 水槽をコンコンと軽く叩く。 「割れるわけないよね…」 ポツリと呟いた私を不思議そうに見る心。 「フフッ、何でもないよ。」 私はちゃんと笑えていただろうか…