彼はそんな私を見て、「鞄。」と一言。 「ありがとう」と言い彼に駆け寄る、笑顔を忘れずに。 心から鞄を受け取り 「じゃぁ。」 と言いドアに向かって歩く。 ピタッと足が止まってしまったのは、右手首を心に掴まれているから。 振り返り、掴まれている心の手を左手で外す。 その手を両手で包みこみ、彼の温もりを感じる。 これで最後だから… この気持ちにちゃんとさよならをするから… 少しだけ、彼の温もりを感じさせて…