「おい」 聞きたかった声に安堵するが震えが止まらない。 「チッ」 舌打ちをする彼。 変わってしまった彼。 (泣くなよ、あお。) (泣きたい時は俺の胸貸してやるからな。) 慰めてくれる彼はもういない。 「しんちゃん…」 涙を流し、しゃがみ込み震える体を抱きしめ、近くにいる彼の名を呼ぶ。 変わってしまった彼は昔のように慰めてくれない。 だけど、目を閉じれば脳裏に浮かんでくる懐かしい日々。 優しかった彼を思い出し心の中で『しんちゃん』と呟く。