女の子の甘ったるい声は『心』と呼びかけていてその名前を聞いた瞬間、野次馬に向かい走り出した。 「どいで!!」 走って疲れた体で最後の力を振り絞り野次馬を掻き分ける。 揉みくちゃにされながら前に進む。 前に進むにつれて怒鳴り声と人を殴る音が大きくなる。 「ちょっとどいて!」 周りの野次馬が邪魔で苛立つ。 −−−無事でいて… 体は悲鳴をあげ、掻き分ける手に力が入らない。 最後の1人をどけ、喧嘩をしている中央を見る