TRIANGLE〜恋の二等辺三角形〜

浩介の場合、その“ふとした瞬間”は体育の授業中だった。

その日、男女別に分かれてバレーボールの試合をしていた。

浩介は頭を使う勉強は嫌いだったが、体育は好きだし割と得意な方だった。

「次いくぞー」

ボールを受け取りサーブを打とうと構えたとき、ふと視線を感じた。

男女それぞれのコートを分けている緑色の網の向こう、真智子が自分の方を見て嬉しそうに手を振っている。

その笑顔が一瞬大人びて見え、浩介は胸の辺りになんとも説明出来ない軽い痛みを覚えた。

「おい、なにやってんだよ〜」

見事サーブに失敗した浩介を、同じチームの男子が笑いながらどつく。

「わーるい、手元狂った」

浩介はそう言って謝りながら、何だ今の、と思わず胸に手をあてた。

――やばいよ、おれ病気になったのか?心臓病か?こんな若くして死ぬのは嫌なんだけど。

少しするとその意味不明な痛みだか痒みだかは治まったので、浩介はほっとした。