TRIANGLE〜恋の二等辺三角形〜

ベルの音が響く。

はなから出る気の無い浩介は床に横になり目をつぶった。

瞼に浮かぶのは、真智子の怯えた姿。

只今自己嫌悪レベルは過去最高。

「おーい、浩兄ー!」

空気を読まない弟が、明るい元気な声で彼を呼ぶ。

「すっごい綺麗な美人のお姉さんがお客さんだよー!」

「はあ?綺麗なお姉さん?」

浩介は横になったまま、めんどくさそうに返事をした。

「そんな人知らん」

「いいからいいから!浩兄の知ってる人だって」

一瞬の間の後、弟の言葉を理解した浩介は何かに弾かれたように跳び起きた。

慌てて階段を駆け下りると、思った通り玄関に真智子が立っている。

少し赤い頬、文句を言いたげな口元。

家に帰っていないのか制服のままで、卒業証書の筒が鞄から頭だけ出している。

驚きと気まずさでなかなか言葉が出てこない浩介に、真智子は無愛想に手招きした。

「話、あるんだけど。ちょっと顔貸してくれない?」