「和さん」
「何?」
昼休み、浩介は弁当を食べている和也を下からジーっと見上げた。
「だから、何?」
気味悪い物を見るような目付きで聞き返す和也に、浩介はあれからずっと気になっていた質問を投げかけた。
「和さん、彼女いるだろ?」
浩介の質問に、和也は飲みかけたお茶を吹き出しそうになる。
「げほっ、げほっ」
「……非常に分かりやすい反応をどうもありがとう」
浩介は無表情で言ってパンの袋を開けた。焼きそばパンだ。
「ちっ、違っ、違っ」
派手にうろたえる和也の顔は酔っ払いよりも赤い。
「うんもうわかったから答えなくていいよ」
一人で納得している浩介の結論を、和也はあわてて訂正した。
「違うよ、彼女じゃないよ」
「へ〜」
「だから違うんだって」
「ふ〜ん」
全然信じていない浩介に仕方ないという表情を見せ、和也はぽつりと事実を話す。
「たまたま自殺しようとしてたとこ助けただけだよ。栞(しおり)……あ、いや矢浪(やなみ)さんは」
“栞”と聞いた瞬間、浩介の目が有力な証拠を見つけた探偵の如くキラリと光った。
「へ〜。彼女でもないのに呼び捨てにするんだ〜。真面目で奥手な和さんにしちゃ、珍しいなぁ〜」
大袈裟な言い方で、意地悪く突っ込んでみる。



