TRIANGLE〜恋の二等辺三角形〜

「よお」

誰もいない通路に逃げ込んだはずなのに、急に背後から低い声がして真智子は小さい悲鳴をあげた。

ちょっと驚かしてやろうと思っていただけの浩介は、振り向いた真智子の顔を見て一瞬戸惑った。

顔が赤い。

――なんかあったのか……?

「なによ。何か用?」

驚いたのも手伝っていつもよりつっけんどんに聞く真智子に、浩介は溢れてくる疑問を抑え普段通りに反応する。

「こそこそ逃げるから何悪いこと企んでるのかと思ってさ」

「あんたと一緒にしないで。どこから部屋に帰ろうとあたしの勝手でしょ」

言い返す真智子の口調の微妙な変化を浩介は聞き逃さなかった。

――絶対、何かあったな。

面と向かって聞いた所で、突っぱねられて終わりだろう。

浩介はかまをかけようと、階段をゆっくり昇る真智子の後姿にからかうような言葉を投げた。