―15年後―



俺が勇に拾われてから“15年”の歳月が流れ、この頃には俺も高校に通いながら、勇の仕事を手伝っていた。



そんなある日、俺と勇との別れは突然やって来た。



勇の家。



俺は学校から帰ると、いつも勇から家に電話が来て、勇と待ち合わせをして仕事の現場に向かうのが日課だった。


しかし…この日は勇からの連絡が遅かった。



『勇さん遅いなぁ。』


『もう夕方じゃないか…』

『何してるんだろう…』


だが…突然、俺は胸を締め付ける様な感覚に襲われた。


うっ…


何だ?これ…


この時の俺には分からなかった。


この時の感覚が“虫の知らせ”だと言う事は…


もし…この時に俺が勇さんの身に起きた異変に、気付いてさえ居れば…


もしかしたら、まだ勇さんは俺と笑って居られたかも知れない。


俺は、勇さんからの連絡を待ちながら、気が付くと眠りに着いていた。