梨依の二番目の兄さんの十和さんも梨依の病室に毎日来る。


初日は、話なんかできなかったけど。


今は、徐々に話せるようになった。


十和さんは、苦しんでいた。


原因を作ったのは、自分だからと。


けど、それは違う。


たまたま、十和さんだっただけ。


あいつは、梨依に会うためなら、どんなことでもしただろう。



あの目を見て、思った。


あいつと同じ目をしていた。


あいつと同じでいつまでも追い回す。


苦痛の対象にしかなりえない存在。


梨依がお金持ちの娘でよかった。


そのおかげで、あいつを排除できたんだから。


もし違ったら、殺すしか梨依は生きる選択をしてくれない。


そんな気がした。