「実依、そろそろ帰るか?」


言われてしまった。


現在、午後6時。


早くないかな?


そういう問題じゃないか?


「そ、そうですね。」



嫌だなんて、言えない。


もっと一緒にいたいだなんて、言えない。


恋人なら、言えるんだろうな。


悲しいし、辛いな。


「じゃあ、実依の家まで送るな?」


「いえいえ、大丈夫です。」



そこは、断らなきゃ。


たぶん、気を使ってのことだから。


「危険だろ?」


真剣に言う惣くん。


「まだ、そんな遅くないから、大丈夫です。」


危険なわけない。


まだ、6時だよ?


でも、断らなきゃよかったんだと思う。


だって、惣くんが、私と梨依ちゃんが姉妹だって知るのが早まったはず。


知るのがどんどん遅くなって、ややこしくなった部分もあるし。


まさか、そんなのが原因にも繋がるだなんて、この時は、全く思わなかったから。


そんな感じで惣くんには、駅まで一緒に行って、そこで別れた。


惣くんとの初デートは、終わった。