「実依、どういう事よ。
卓先輩って、あの伊藤先輩?」


近くにいた子が実依を問いつめるように聞いてきた。


「そうよ。
2年前に卒業した伊藤 卓先輩。
梨依ちゃんの彼氏なの。
私の未来のお義兄さん。」


実依は、すごく楽しそうにしかも、いつもより大きめな声で周りに聞こえるように言った。


「うっそー。
梨依先輩の彼氏?
超美男美女カップルじゃん。
じゃあ、あの時の噂ホントだったんだ。」


なんで、嬉しそうにキャッキャッと話すのか理解できなかった。


男子は、なんかうなだれてる。


なぜ?


まあ、いいか?


「ねぇ。
じゃあ、品田先輩は、なんで一緒に来てるわけ?」


品田先輩?


誰?


「さ、さぁ?」


実依は、明らかに動揺してたけど、誤魔化した。


なんで?


実依の知り合い?


てか、卓の友達でもあるんだよね。


さっぱり、つながりがわからない。


実依は、みんなの前で言いたくないみたいだし、後で聞かなきゃ。


「梨依ちゃん、さっさと行くよ。」


実依は、気を取り直して私の手を引っ張りながら校門に向かった。