つれづれなるままに奈落


 万蔵爺さんがすごい人であったことは

 すでに触れましたけど、麗菜先輩によ

れば、先一昨年までは、まだ凄かった

そうです。

 女は男に比べて、2倍は介護に手がか

かります。

 排尿を例に説明するとよくお分かりだ

と思います。

 男の場合、尿瓶一つをあてがっておけ

ば、それで事足りますが、女の場合は、

そうはいきません。

 その都度、便座に座らせなければなら

ないのです。

 麗菜先輩のように男がすきなひとは、

 手のかかる同性の介護には、ことさら

 冷たく邪険にしているいように感じま

 す。

 尿瓶を置いとくだけでいいのに、万蔵

 さんの竿をわざわざ持ち上げて、時間

 を見計らってやってあげてたからです。

 白眉をさげて柔和な顔になっている

 万蔵さんをみると、仕事に充実を感じ

 たのだそうです。