「…槙原直樹、どこだ」 受付の看護婦に尋ねる。 看護婦はあからさまに嫌な顔をして、答えた。 「312号室ですが、 今は意識不明ですので お見舞いは今度にしていただいた方がいいかもしれません」 表なんかを見ないでさっと答えたところをみると、 何人もの人が槙原直樹を訪ねているのだろう。 そして、 意識不明と聞いて 諦めて出直すのだろう。 「……」 こっちは、 だから会いに来たんだ。 起きられてちゃ、 またやいやいうるさいからな。 俺は踵を返し、 312号室へと足を運んだ。