君が笑うなら

唇に指を触れ、
はっと気づく。


すっかり固まってる相原舞が、
目の前にいた。



｢…カッコいいなんてセリフは、
彼氏以外に言うもんじゃねーよ｣



まじでテンパってるくせに、
余裕ぶって言う。



｢…意識、
取り戻したみたいだし｣



途端、泳いでいた相原舞の瞳が、
――俺の大好きな瞳が、
ぱっと見開く。




｢…っそ、それ…、本当？｣



俺は優しく微笑んで頷いた。


ぎこちなかったかもしれないけど
君に向けた初めての笑顔だったってこと


気付いてくれていただろうか。