ワクワクしながら過ごした数日間は長かったようで短かい。
私はワンピースにジャケット、少し高級なアクセサリーに身を包み待ち合わせの場所に向かう。
そこには既に守さんが待っていた。
彼もノータイなもののシャツにジャケットとオシャレな格好をしていて、その姿に思わず胸キュンしてしまう。
「お待たせしました」
「いや、全然待ってないから大丈夫だよ」
「今日はどこへ行くんですか?」
「あれ?聞いてないの??そっか。実はうちに映画のチケットが送られてきたんだ」
そう言って守さんが差し出したのは今話題のラブストーリーのチケットだった。
「わぁ。この映画見たいと思ってたんです」
「ならよかった」
そう言って微笑みかけてくれる守さん。
「そこの映画館だから行こう」
二人並んで歩き出す。
「映画、お好きなんですか?」
「うん、結構好きだよ。香奈ちゃんは?」
「私も好きです。どちらかというと邦画より洋画の方が好きかな」
「そうなんだ」
そんな話をしながら映画館のドアをくぐる。
全席指定の新しいシネコンは入った瞬間からキャラメルポップコーンの甘い香りが漂っていた。
「何か飲み物とかいる?」
「あ、はい。ウーロン茶がいいな」
「わかった。じゃあ買ってくるよ。甘いものも平気だよね」
「ありがとうございます」
やっぱり守さんって優しいなぁ。レジへ向かう後姿を見ながらまたもやトキメいてしまった。

席に着いて少しすると映画が始まった。
いつもよりも近くに感じる守さんの呼吸。
横目で見ると、端整な顔立ちが真剣な眼差しでスクリーンを見つめていた。
その姿に見とれているとふいに目が合い、微笑みかけてくれる。
恥ずかしくてつい目をそらしてしまった。
見たかったはずの映画なのに、半分も頭に入らないよぉ。