すると、突き飛ばすように渚はその子から手を離した。
あたし以外の女の子にまで、手を上げるなんて考えられなかった。
渚はどうしちゃったの?
乱暴だったけど、こんなことする子じゃなかったじゃん・・・・・・。
女の子は安心して、崩れるようにその場に座り込んで、泣き出してしまった。
その周りを取り巻くように、長谷川さん達は“大丈夫!!?”って言って駆け寄った。
コレでもし、本当に殴られていたら、どうなっていたんだろう・・・。
あたしはこの場所から、動けずに居た。
入り口には渚がいて、目の前には長谷川さん達がしゃがんでいる。
・・・・・・どうしよう?
体が動かない・・・。
「おい!お前等何やってるんだ!?」
ふいに聞こえてきた男の声。
そこにいた全員がその男を見た。
それは、野球部の顧問の、怖い先生で有名な人だ。
「別になんもありません。すぐに出て行きます」
長谷川さんはしおらしく言う。
気の弱い先生にはいつも怒鳴ったりするのに、流石にこの先生じゃそれは無理みたいだ。
あたしは何も言わずに渚の横を通って、外に出た。
それだけなのに、すごく緊張した。
すぐに駆け出して、校舎までグラウンドの隅を走る。
渚は追いかけて来ないみたいで、安心した。
集中下駄箱に入ると、鞄を持ってる心と佳保がいた。
「あっいた~!アンタどこ行ってたのー?」
あたしの鞄も持ってくれてる心は、不満そうに口を尖らせていた。
「ごめーん!さっき呼び出しくらってさぁ!マジ有り得ないよ~」
全力で走ってきたから肩で呼吸する。
心から鞄を受け取った。
「え!誰に?また先輩?」
心ではなく、佳保が反応した。
「ううん!長谷川さん達。なんかよく分からなかったけどさ」
「ふ~ん。ドンマイだね」
「ホントそれ」
ローファに履き替えて下駄箱に上靴を閉まった。
二人とも普段あたしが呼び出しが多いの知ってるから、最近はあまり驚かなくなった。
