一番会いたくない人・・・。
一番怖くて仕方ない人・・・。
「なぎ、さ・・・」
なんでここにいるの??
「椿」
そう呼んで、あたしの所へ近づいてくる、渚・・・。
あたしは逃げたいのに、地に足が生えたように、
少しも動けなかった。
やだ・・・。
来ないでよ。
あたしの気持ちとは反比例したように、
どんどん距離を縮めていく渚。
俯いて、震える手でスカートをぎゅっと握る。
「これ、忘れ物」
無愛想に差し出された、あたしのリボン。
あの日、渚の家に忘れた物だ。
「・・・っ」
あたしは目の前のリボンに目を移すのが精一杯だ。
「・・・ら、ない」
「は?」
唇をきゅっと軽く噛んだ後、
あたしは口を開いた。
「い、らないってば!早く出てってよっ!」
下を向いたまま、尖った声を出した。
早く出てって!お願いだから・・・!
本当に渚が怖いんだ。
また何かされるんじゃないかって・・・・・・。
あの時のこと、一番鮮明思い出してしまうのは、
渚がすぐ前にいるからだ。
ふいに目に涙が溜まった。
「ちょっとこっち来いよ」
え?
渚に腕をがっと掴まれて、無理矢理席から立たされた。
掴まれたところが、何故か痛くなる・・・。
すると、何も言わずに急に歩き出した。
