手を繋いで歩いたのなんて、いつぶりだろう。


学生時代以来かもしれない。


家にいるときだったり、二人だけの空間の時は、甘えたり手を繋いだりするけど。


公共の場では、あまり手を繋いだりイチャイチャしたりするのが苦手なんだといつからか気付き始めて、特別な時だったりしない限り、相手から言われても苦手だからと断ってきた。


なんでだろう、渡辺健人と付き合ったりしてるわけでもないのに。


そんなことを考えている合間に、自分の家が見え始めた。

ぼーっとそんな昔の恋愛を振りかえっていたからか、隣の状況に全く気付かなかった。


「あれ、私んち・・・・」

隣を見ると渡辺健人が目に涙をためて、口を手で覆っていた。


「え?!ちょっと、大丈夫??」


「すんません・・無理かも・・」


嘘でしょ・・勘弁してよと思いながら、先ほど安易に判断した自分に後悔した。