彼の名前を呟いたところで、ここがどこなのか気づいた。 「・・課長・・・・すいません」 上半身を起して、きっとぼさぼさになっている髪の毛に手ぐしを通す。 「渡辺くんから聞いたよ。無理しないで」 柔らかい優しい笑顔をあたしに向ける。 あれからまた寝てしまったらしい。 あくまで仕事中なのに、体調も自分自身もどうかしてる。 「ありがとうございます。でももう大丈夫です・・仕事戻ります」 ちゃんと会社の顔になっているだろうか。 それすらも制御できずにいるのだろうか。