「行きたい場所決まった?」



つかささんが私に聞いてきた時、

自分の頭の中には第1候補のデートスポットを歩く私達の姿が完璧なまでに描かれていて。



「私…あそこに行きたいんだぁ。門司港。」



「…門司港レトロ?」


「うん。かなり昔に行った事はあるけど。つかささんと、あのレトロな街並みを見て、堂々と腕組んで歩きたい。」



どうかな…

そう思って彼の顔をそっと見ると、彼は笑って、
「結子がそこがいいと言うなら。行こう、門司港。」

と言ってくれた。




それから約束の日までは毎日毎日指折り数えて。

休みを取る為に仕事が大変だったのも、彼との大切な時間の為だと思えば、乗り切れた。


体のあまり丈夫でない子供達が体調を崩さないように、いつも以上に気を配った。


つかささんに突拍子もない急用が入らないよう、毎日祈り続けた。




きっと、普通の恋人達から見れば、大袈裟だなと笑われるくらい必死。


でも、毎回毎回、3時間前後しか逢う時間が取れない私には、
これは、何とも引き換えの出来ない大切な大切な計画。