大吾は、全くあたしの方を向かない。
あたし、嫌われてるのかなー
「ねぇね、」
「?」
トントンと肩を軽く叩かれてあたしは振り返ると、肩肘をついてあたしを見ている女の子。
「あたし、森山千穂っていうの。よろしくね?千穂って呼んで」
「あたしは、御堂雪那。好きに呼んでいーよ」
「せつなって変わった名前だね」
「でしょ?」
千穂は、よく笑う子みたいだ。笑顔がよく似合う。
自己紹介をしながら、どこから来たの?って聞かれかなり焦った。坂口先生が変なこと言ったからだ。
だからとりあえず鹿児島から来たと言った。
「親の転勤とか?」
「そんなとこ」
大変だねぇ、と千穂は言う。
「てかさ、ちょっと確認」
「なぁに?」
千穂の視線は、あたしの右目に注がれた。


