もし明日が見えなくなっても切ないほどにキミを想う。




突然、ドアが鳴る。
理事長がどうぞ、と言うと、失礼しますの声と共にスーツ姿のメガネの男の人が入ってきた。


「雪那さん、君の担任の先生」

「坂口亮太です。担当教科は数学」


にっこりと微笑む坂口先生は、優しそうな先生だ。


「御堂雪那です。よろしくお願いします」


頭を下げながら挨拶すると、理事長は、坂口先生についていけばいいと言った。


「じゃあ行こうか」

「あ、はい」


先に坂口先生が出てあたしは理事長に一礼してから理事長室を出た。理事長は、手を振りながら見送ってくれた。


「理事長と知り合い?」

「あ、はい」

「じゃあ不安とかないね」

「そうですね……」


坂口先生と並んで歩きながらあたしはふと窓から見える景色を眺めた。