「心配?」
「それに、何だかほっておけねぇ」
ギュッと繋がれた手に力を込められた。
どうやらこの人は見た目と違って優しい人みたい。やっぱり声が良いからだ。
その後は、ご飯を食べて(見たことない料理ばかりだった)、お風呂に入って(温泉より広かった)、慧斗の部屋で一息つく。
慧斗は、親父のとこに行ってくると出て行って部屋にはあたし一人。
「ふぅ……」
あたしは、ソファーに体を預けながら一息ついた。
天井を見上げて、なんか今日は濃い1日だったなと思う。
左目に手をおいて隠して右目だけで見てみる。
「なーにも見えない」
真っ暗でなにも映し出されない。
光の差さない右目。いずれ左目も見えなくなる。


