それに、言うならば、
『雪那は彼女じゃない』
『は……?』
『俺の妻、だ』
ポカーンと口を開けたまま固まっているジョンをそこに、俺は雪那と手を繋ぐと、大学から離れた。
「慧斗」
「ん?」
「英語、凄いね」
キラキラと尊敬の眼差しを向けられ笑う。
「雪那も上達してきただろ?」
「初めよりは、だけどね……」
苦笑する雪那に、俺は空いてる手で頭を撫でてやろうとして、その前に手を引っ張り自分の方に引き寄せた。
「わ、」
「足元に段差がある」
「ごめん」
「ごめんは言わない約束だろ」
咎めるように頬を摘まめば、いひゃい、と抗議の後、ありがとうと言われた。
だんだんと見えなくなっていく雪那の目に、俺は一刻も早く治療法を見つけたいと思っている。


