未来は不安なものだけれど、今、確かにあたしは幸せだった。


慧斗に出逢うまで幸せなんて程遠い場所にいた。
きっと幸せなんて、愛なんて知らずに真っ暗な世界に堕ちていくんだろうと思っていた。


「あたし……ちゃんと母親になれるかな」


「心配するな………俺がいる」


キュッと手を握られる。
それだけで不安は和らいでいく。
うん、と頷いた。


近い未来、あたしは光を失う日がくるだろう。


だけど、慧斗とこの子がいればあたしは光の中を生きていけると思うんだ。





昔は、病気にかかって宣告を受けても神様を恨むことはなかった。


慧斗と出会ってからあたしは初めて病気であることを恨み、神様を憎んだ。


そして今、あたしは神様に感謝している。もし病気にならなかったら慧斗に逢うこともなく、この幸せを感じることはなかったと思うから。














―End―