頬を擦りながら慧斗を睨み付けるが慧斗はどこ吹く風だ。
「いいから、言え」
「………慧斗は、」
本当にあたしでいいの?
そう聞くと、慧斗は溜め息をついた。
「愚問だな………信用できないか?」
「違う……」
あたしは首を振る。
信用できないんじゃない。
夢なんじゃないかって思う。
自分に都合の良い、夢。
「………お前でいい、じゃなくて、雪那じゃダメなんだ。」
ピタリと慧斗の歩む足が止まる。
「慧斗……」
「どうしたら信用してくれる?俺はお前がいればそれでいい………好きも愛してるも越えているんだ」
慧斗………
「だから……泣くな」
そっと慧斗の指があたしの目の下に触れる。言われてはじめてあたしは泣いていることに気付いた。


